婚約破棄をして乗り換えた元彼と妹と私の幸せ【現代、短編】
「うん、あ、そんなにじっくり見ないで恥ずかしいよ。本当は、新しい鞄にするつもりだったの。鞄に合わせて服を選んだから……この鞄じゃ、合わないでしょ……」
彼氏はそんなことないよと言う言葉を口にできなかった。
桃色のワンピースに、大学の講義を受けに行くときに持って行くような大きな黒のリュックはアンバランスだと思ったからだ。
「新しい鞄はどうしたの?」
柚芽は悪気もなく答えた。
「お姉ちゃんがもって行ってしまったの……」
「え?柚芽ちゃんの鞄を?」
「2人で使うって約束した鞄だから、私の鞄っていうわけじゃないけれど……それでも、お姉ちゃんが昨日使ったから、今日は柚芽が使えるはずだったんだけど……」
「なんだよ、それ。二人の鞄なのに、柚芽ちゃんには使わせないって」
彼氏が怒りに顔を赤めた。
「本当に、酷いやつだな。付き合っている時はそこまで妹に対して色々ひどい仕打ちをしているとは思わなかった。婚約破棄して正解だよ」
「わ、私も……明日貸してって昨日言えばよかったんだよ……」
そもそも、いつから二人の鞄になったのだろうかと、姉がこの場にいれば思っただろう。
ポロリと、柚芽の目から涙が落ちる。
「柚芽ちゃん」
「私が悪いんだ……せっかく、新しい鞄に合わせて服も化粧もしたのに……せっかく、デートだから……かわいい恰好したかったのに……」
ポロポロと可愛い女の子が涙を落とす姿に、何を言っていいのか分からず彼氏は戸惑った。
「そうだ、じゃぁ僕が柚芽ちゃんに鞄を買ってあげるよ」
「え?本当?いいの?」
「ああ、ほら、こないだのクッキーのお礼だよ」
彼氏はニコリと笑った。
結局、何にアレルギーが反応したのかは分からないが、発疹以外にも、腹痛も出た。幸い呼吸困難などの症状は出なかったものの、発疹は家に帰っても広がり、全身が真っ赤になった。
彼氏はそんなことないよと言う言葉を口にできなかった。
桃色のワンピースに、大学の講義を受けに行くときに持って行くような大きな黒のリュックはアンバランスだと思ったからだ。
「新しい鞄はどうしたの?」
柚芽は悪気もなく答えた。
「お姉ちゃんがもって行ってしまったの……」
「え?柚芽ちゃんの鞄を?」
「2人で使うって約束した鞄だから、私の鞄っていうわけじゃないけれど……それでも、お姉ちゃんが昨日使ったから、今日は柚芽が使えるはずだったんだけど……」
「なんだよ、それ。二人の鞄なのに、柚芽ちゃんには使わせないって」
彼氏が怒りに顔を赤めた。
「本当に、酷いやつだな。付き合っている時はそこまで妹に対して色々ひどい仕打ちをしているとは思わなかった。婚約破棄して正解だよ」
「わ、私も……明日貸してって昨日言えばよかったんだよ……」
そもそも、いつから二人の鞄になったのだろうかと、姉がこの場にいれば思っただろう。
ポロリと、柚芽の目から涙が落ちる。
「柚芽ちゃん」
「私が悪いんだ……せっかく、新しい鞄に合わせて服も化粧もしたのに……せっかく、デートだから……かわいい恰好したかったのに……」
ポロポロと可愛い女の子が涙を落とす姿に、何を言っていいのか分からず彼氏は戸惑った。
「そうだ、じゃぁ僕が柚芽ちゃんに鞄を買ってあげるよ」
「え?本当?いいの?」
「ああ、ほら、こないだのクッキーのお礼だよ」
彼氏はニコリと笑った。
結局、何にアレルギーが反応したのかは分からないが、発疹以外にも、腹痛も出た。幸い呼吸困難などの症状は出なかったものの、発疹は家に帰っても広がり、全身が真っ赤になった。