一週間後君が夜に眠るまで
気がつくと僕は、右も左も、前も後ろも、上も下さえも分からない真っ暗な空間にいた。
何が起こった?
僕は彼女の眠ったあと、物置と化していた空き部屋の掃除をしていた筈だ。
もしかして、何か物が落ちてきて頭に当たり、死んでしまったのだろうか。
それにしては意識がしっかりとしている。
走馬灯というやつだろうか。
刹那、闇が飛散した。
突如として明るくなった空間に目が眩む。
だんだんと目が慣れてきた頃、ある映像のようなものが流れ始めた。
雨が降っている。
でも、僕の足元にあるのは水溜りでは無く、血溜まり。
誰の血だろう。
視線を上げれば、血だらけで倒れている、四肢が捻れた人が見えた。
なんだか見覚えのある人だ。
少した頃、救急隊の人たちがきて心肺蘇生を始めた。
僕は何もできず、唯々佇んでいた。
そんな無力な僕を嘲笑うかのように、雨は強さを増した。
何か、とても大切な事を忘れている気がする。
なんだろう、思い出せないな。
< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop