一週間後君が夜に眠るまで
宵が太陽に切り裂かれて少し経った頃。
今日の朝食は彼女が好きだと言っていたカルボナーラを作った。
目を輝かせて食べる彼女に苦笑しつつ食べたカルボナーラは、いつも以上に美味しかった。
そして昨日話していた通りショッピングをしにきたのだが、彼女と行くのは酷く疲れる事を知った。
年頃の女子はみんなこうなのだろうか。
予定外のものを大量購入したり、UFOキャッチャーで取れるはずのないぬいぐるみに数千円注ぎ込み、やっとのことで取ったり。
数時間連れ回され、身体で学んだ。
最近の女子学生はどうやら金銭感覚がおかしい様だ。
心配する僕を他所に彼女はお目当ての服を数着買って、ご機嫌よろしく帰路についた。
そんな彼女の隣を、巨大なぬいぐるみを脇に挟み、食品類を手に提げた僕が歩く。
今日一日で信じたくないほどお金を使った。
生活に一人加わっただけで、こんなにも食品が増えるとは思ってもみなかった。
何かバイトでもしようかな。
そう本気で考え出した頃、彼女は唐突に切り出した。

「あなたは、私の事を好きだったりするのかな?」

正直疲れ果ててそれどころでは無かった僕だったが、彼女の耳の赤さや、目の泳ぎ具合で分かった。
これは、誤魔化してはいけない質問だと。

「うーんどうだろう。僕の人生で唯一僕と対等でいようとしてくれる大切な人だけど、それじゃ駄目だよね。ごめん少し考える。家に着いたら返事するよ」

「…分かった」

実際にはもう返事は決まっていた。
ただ、本当にそれで良いのか迷いはあった。
でも今答えなかった理由は単純だ。
視線が痛い。
脇にぬいぐるみを抱えたままトボトボと歩く僕は、目立って仕方ない。
人に見られる事が嫌いな僕は、そんなお互いの人生の分け目になるような話を冷静に考える余裕がなかったのだ。
ただ、帰り道ずっと顔が焼けるように熱かったのは、真正面から照りつける夕陽の所為だろう、きっと。
あぁまた、すれ違った人に笑われてしまった。
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