Your Dole
ガブリエルにそう言われ、ミラは最初は迷った。この男性について行くということは、家族と永遠に会わないということである。

『君はとても綺麗だ。そんな格好じゃもったいないよ』

迷うミラをガブリエルは抱き寄せ、耳元で囁く。ミラはその時、ツギハギだらけの薄汚れたワンピースを着ていた。ミラの両親はおしゃれをすることを許さず、いつも誰かの古着を着るしかなかったのだ。

『君は素敵なお人形になれる。僕にその人生を委ねて?』

耳元で甘く囁かれた刹那、ミラの体に電流が流れたような感覚が走る。そして頭がクラリと揺れた。

「わかりました。あなたのお人形になります。その代わり……私を一生面倒を見てくださいね?」

ミラがそう言った刹那、ふわりと体が宙に浮く。ミラのことをガブリエルが横抱きにしたのだ。

『これからよろしくね、僕のお人形さん』

優しく唇が重なる。こうしてミラはガブリエルの人形として生きていくことになったのだ。
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