離してよ、牙城くん。
* 危 険 *
とりあえず牙城くん
.
「あの……、朝倉さん!
ちょっと話があるんだけど」
「話……?う、うん、えっと、」
「ここじゃ話せないから……、廊下出てもいい?」
「え、あの、」
「お願いっ!」
なにかに焦ってるような、クラスメイトの佐倉くんの声に、反射的に頷いてしまう。
こんなに必死にお願いされて……、断るなんてこと、できるわけない。
大事な話なんだろうし、
ここじゃ言えないって、相当だもん。
だから。
─── 『百々ちゃんの休み時間は俺のものだから、ほかの男とか禁止ね』
……“彼”に言われたことなど、気にしない、気にしない……!
「わかった、とりあえず出よう……っ」
佐倉くんは急いでいるようだし、わたしもおなじように彼に言うと、嬉しそうに頷いて廊下に出た。
ふと、思う。
今日は……、牙城くん、うちの教室来ないのかな?