離してよ、牙城くん。


わたしの頰に、そっと触れて熱くさせる。


朝から妙な色気に纏われた牙城くんに……、ドクッと身体中の血液が波打つ。




「俺がこうやってたくさん話すのも、触れるのも、可愛いって思うのも。
そんな女の子は、ひとりだけだよ」


「ひと、り……」




それは……、わたし?


うぬぼれ?かんちがい?




わざと名前を言わないとこ。


そういう掴めないところにまた惑わされ、惹かれて、心がごっそり持っていかれる。




恐ろしいひと、……牙城渚くん。





「あと、俺の夜は健全だから」


「んんっ……、なんか言い方やだ!」




いやらしく聞こえてしまうのは……、わたしだけ?





「気になってたくせに。変態ももちゃん」



「はい?!牙城くんのばかたれ!」




「うんうん。オトナの色気よりも、百々ちゃんの癒しのほうが圧倒的に大優勝だし」





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