離してよ、牙城くん。


ぶんぶんと頭の中の思い出を振り払って、淡路くんと話す。




「そう、牙城くんがいじめてくる……!」



もう、こうなったら牙城くんに悪いこと丸投げだ。


牙城くんはわたしと淡路くんが話しているのをよく思っていないのか、それともわたしの言葉が気に入らなかったのか、「……モモチャン?」と黒いオーラで声をかけてくる。



きっとここで彼のほうを向いたらおしまい。


どうせなら、と淡路くんを巻き込んでいく。






「牙城はそういうやつだもんねえ」


「うん。でもね、たまに、優しいよ」



「エミ、まじうざいんだけど、なに?
てか、百々ちゃんも割と失礼じゃね?」






「俺は優しいからさ、俺んとこ来る?」


「え、それは……ウーン、」




「うわあーエミめっちゃ百々ちゃんに嫌がられてんじゃんーまあそりゃそうだわ俺仕様に躾てるし」





「うざいのは牙城だわ」






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