離してよ、牙城くん。
そんなこんなで3人で登校すると、視線が痛いほど浴びせられた。
特に、女の子からの視線。
それは牙城くんといるからなんだろうけど、
もはや慣れすぎて日常だから、あまり気にしないようにしている。
だけど、今日は人気者の淡路くんも一緒にいるからか、ヒソヒソとわたしたちを噂する声が聞こえてしまう。
「……ねえ、見て。牙城渚くんと、淡路甘くんだ……!
……あー、でも今日も朝倉さんいるよね」
「朝倉さん、どっちとも仲良いって……なんでなんだろう」
「ふんわりしてると見せかけて、二股かけてたりして」
「それ、ありえるかも。だって牙城くんは特に、女の子との関わり一切ないから、朝倉さんにばかり構うのおかしいもん」
「やめときなよ……、知らないの? “牙城渚を怒らせたら殺される”って……」
「知ってるけど……朝倉さんばかりずるいんだもん」