離してよ、牙城くん。
ゆるさない牙城くん
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「朝倉さん。ちょっと話あるんだけど、いい?」
その日の休み時間。
そろそろ牙城くんが会いに来るかな、と教室で待っていると。
やってきたのは牙城くんじゃなく、彼のクラスの女の子3人だった。
派手めなメイクに、くるくると巻かれたブラウンの髪。
きれいな人たちだなあ、と見惚れているも、……あまり友好的な雰囲気ではなさそう。
もちろん、話したことはなく、関わりもまったくない人たち。
話すことなんてきっとないはずなのに、わたしを呼んだということは……、牙城くん関係だろうと思う。
「……わかり、ました」
きっと牙城くんは、のこのこついて行くなって言うだろうけれど。
わたしだって、わたしの意思があるんだもの。