離してよ、牙城くん。
牙城くんには、メッセージを入れておく。
“おなか痛くてお手洗い行ってるから、この時間はゆっくりしてね”
……うん、違和感ないはず。
スマホをポケットにしまい、待ってる彼女らの後ろを歩いた。
……牙城くんに近づくな、って言われちゃうかな。
さっき聞こえた噂だって、そういうことだろう。
でも、だれになにを言われても、牙城くんのとなりにいるって決めてるの。
出会ったあのときから、牙城くんは、わたしが守るって心に誓ったから。
だから、だよ。
牙城くんのいないところでも、わたしはひとりで大丈夫だって証明しないといけないんだ。
明らかにわたしだけが浮いている、廊下を歩いているメンバーに、ほかの生徒たちが興味津々に見つめてくる。