離してよ、牙城くん。
「んもう! 百々は優しすぎる!」
このこの〜っとわたしの背中をポカポカ叩いてくる花葉に抱きつきながら、ふと思った。
……牙城くんが、わたしが合コンに行くって知ったらどうなるんだろう。
きっと……怒る、よね?
でも、牙城くんはロン高が好きみたいだし。
その生徒とも仲が良かったはず。
それなら、ちょっとだけなら……大丈夫だよね?
花葉のため。
親友のために行くだけだ。
牙城くんには、……内緒にしないと。
彼に隠しごとをする後ろめたさを感じつつも、嬉しそうに飛び跳ねる親友の姿を見ていると、それも少しだけ和らいだ。
牙城くんに……、どうか、バレませんように……。