離してよ、牙城くん。
「次、破ったらレッドカードだから気をつけてね」
「レッドカード……だとどうなるの?」
「あ、それ聞いちゃう?」
そうだなあ、と不敵な笑みを浮かべた牙城くんは、咥えていた棒つきキャンディを持ち、くるりと回した。
……、危険信号だ。
わたしは知ってる。
牙城くんが棒つきキャンディを噛んだり回したりするときは。
必ず、そのあとにいいことは起こらない。
唇の端をにっとあげて、ゆっくり牙城くんは口を開いた。
「そうだねー。
ぐずぐずに泣かして─── 、
俺から逃げられないように監禁しようかなあ、」
「かんきん……え、あ、冗談だよね、」
「え、なにが?」
「……」