離してよ、牙城くん。
見ると、そこには追いかけてきたのか、さきほど同じところにいたふたりの男の子。
ロン高らしく、派手な髪、着くずした制服をしているふたりだ。
不思議と怖い雰囲気はなくて、身を構えることなく話ができる。
「えっ、と……、なんでしょう?」
名前は、確か……シオンくんと、レンくんだ。
どちらも顔は整っているけれど、系統はぜんぜんちがう。
明るくて気さくなほうが、シオンくん。
クールで物静かなほうが、レンくん。
自己紹介のときに一方的に話したっきり、何も会話をしなかったから、こうやって追いかけられたのが不思議で仕方ない。
「渚さんの、お知り合いですか?」
ふたりは、わたしたちよりひとつ歳が下だった。
そのせいか、牙城くんのことを“さん”付けしている。