離してよ、牙城くん。



「それって、芸能人とかってこと……?」



芸能人に似てる、なんて言われたことはたぶんない。


……あ、でも。




小さい頃から、似てる似てると、何度も言われた人はいることに気づいた。


でも、その人と目の前にいるふたりとはまったく関係がない。




ひとまず考えることはやめて尋ねると、ふたりはそろって首を横に振った。




それから、レンくんとシオンくんは顔を向かい合わせて何やら小声でケンカし始めた。






「ほら、レン。そんな回りくどい言い方しても、わかんないだろバカ」


「……はあ? じゃあ、お前が聞けよ。シオン」



「は、無理無理!」


「俺も嫌だってば……」





「っ、しゃあねえなあ……」





ふたりでこそこそ何を話しているんだろう……?







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