離してよ、牙城くん。
待ってるほうの身としては、どうしていいかわからない。
黙ってふたりを見つめることしかできなくて、手持ち無沙汰にカバンを肩にかけ直す。
────ほかの誰かに、なにか言われるかもしれないけど気にしないこと。
椎名さんとの約束は……、守れる気がしなかった。
口を開いたのは、さっきと違ってシオンくん。
レンくんは、なぜか気まずそうに目を泳がせている。
「あの……朝倉さん、ナナさんとそっくりですよね」
ナナ……?
「……七々ちゃん?」
わたしがそう呟いた途端、シオンくんは目を見開かせてオーバーなリアクションをする。
「っ、やっぱり知ってますか?」
「う、うん……。七々ちゃんは、わたしの双子のお姉ちゃんだから」