離してよ、牙城くん。



小さいときも、いくつになっても、『七々と百々は似てるね』って言われ続けていた。


似すぎたおかげで、親戚からも何度も間違えられた。





でも、いまはあまりその言葉はかけられなくなった。


七々ちゃんは髪をばっさり切り、カラコンを入れ、いくら顔がそっくりでも、雰囲気がまったく違くなったからだ。





「じゃあ……、あのことも知ってますよね?」





ほっとしたように胸をおろすシオンくんの言葉に、眉をひそめる。



あのこと……?

それは、話の流れ的に七々ちゃんに関係すること?



何の話をしているのか見当がつかなくて無言のわたしを見ると、シオンくんは「ほら、あれですよ」とピッと人差し指を立てた。












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