離してよ、牙城くん。
ズルいのはいつだってきみのほうだ。
「な、渚さんが……っ」
「折れた……」
「「朝倉さんって……、何者?」」
化け物を見るかのような目で、ふたりはわたしを見ておののいた。
……え、わたし、怖がられてる?
その震え様に、今度はわたしが焦る番。
「えっ、あの、紫苑くんと廉くん……? 怯えてる……?」
そろ、っと近づいて、歩み寄ろうとするけれど。
一度怯えてしまったふたりは、わたしから後ずさるばかり。
……うっ、嫌われたみたいですごく悲しい……。
「ひいっ、渚さんに逆らえるなんて朝倉さんもしかしてやばい人ですか……っ!」
「実はケンカめちゃくちゃ強いとか……」