離してよ、牙城くん。


このひと、やばいひとだ。


まともじゃない、だけど。

牙城くんになら監禁されてもいいかも……、なんて思ってるわたしのほうが、やばい、のかもしれない。



「ま、されたくなかったら守ってね、約束」


「……ぬ、ん」



「なに、“ぬん”ってカワイー」


「…… “ぬぬっ、やだよ、……(しかたないと悟って)うん” っていうわたしの葛藤だよ!」



「そうかそうか。やっぱおもしろいわ、百々ちゃん」


「あんまりうれしく、ない……」




なんでー、って朗らかに笑ってる牙城くんのすがたを見ていたら、彼が野蛮なことをしていたりするひとになど、まったく感じ取れない。


というか、感じたくないんだと思う。



わたしのなかでは、牙城くんはこういう、なんだかんだ優しくて変わったひと、っていう認識だから。




「もーもちゃん」


「ふえっ、な、なに?!」




そんなことを考え込んでいたら、突然の牙城くんのドアップ!


美しすぎる端正なお顔が間近にあってドキドキしちゃう。






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