離してよ、牙城くん。
ほんっと、牙城くんは……!
むうっと頰を膨らませて、拗ねたようにプイッと顔をそらした。
「……牙城くんなんか知らない!」
「え、待って百々ちゃん。ごめんって許して」
「ついてこないで……! わたし、怒ってるのっ」
「まじごめん。俺、百々ちゃんに嫌われたらしんじゃう」
「う〜〜っ、しんじゃうのは困るから、アイス一個で……ゆるす」
「うん、百々ちゃんほんと好き」
わたしたちの掛け合いを呆然として眺めていた紫苑くんと廉くんは、ふたりでこんな会話をしていたらしい。
「渚さん……、あんな顔するんだな」
「いや、ほんと笑顔……」
「朝倉さんって、すげえんだ。俺らの総長よりも強えんだもん」
「ふわふわしてるように見えるけど、芯があってしっかりしてるし」