離してよ、牙城くん。



牙城くんの好きなものといえば、棒付きキャンディ。


それ以外に思いつくものはなくて、自分の無知さにだんだんと悲しくなってくる。





近くのコンビニで買って渡そうかな……なんて思いながら、話を続ける。





「花葉がね……? 椎名さんを好きになったみたいで」


「へえ? あいつのどこがいいんだか」




「……牙城くん」


「あーウソウソ。アイツ、イイヤツダヨネ」




「棒読みだってば……」





本当に、牙城くんと椎名さんの仲はよくわからない。


椎名さんのほうが、お兄さんって感じがする。

歳は変わらないのに、包容力があるというか。



牙城くんは、猪突猛進タイプだから、そのブレーキとなっているのが椎名さんという存在なのかもしれない。








< 185 / 381 >

この作品をシェア

pagetop