離してよ、牙城くん。
「あーー……、まあ、椎名から連絡来た」
「えっ、椎名さん?」
「そう、通話で『お前のモモチャン危ねえかもよ?』とかほざいてた」
「ぜ、ぜんぜん危なくなかったんだけどなあ……」
はて、と首を傾げると、牙城くんはそんなわたしを見て、呆れたようにため息をついた。
「どこがだよ。百々ちゃんあのままひとりで帰ってたら、どっかの誰かに食われてたから」
「ええ、まさか……」
そんな危険がわたしを囲んでいるなんて、考えづらい。
笑って否定しようと思えども、牙城くんはまったく冗談じゃないらしく。
「百々ちゃんさ、男はみんな危ねえって覚えておけよ」
「……牙城くんも?」
「そうだよ。俺もただの飢えた獣かも」
「けもの……」