離してよ、牙城くん。
「本当は繊細で優しい牙城くんのこと、……わたしが守りたいって思う。だれよりも、となりにいたいって考えてる」
「……」
「この気持ちが恋……、っていうのか、まだわからない。
だから……答えが出るまで、待っててくれますか。牙城くん」
じっとまっすぐに牙城くんを見た。
彼の瞳はゆらりゆらりと揺れ、戸惑っているようだ。
「俺、期待してもいーの……?」
みんなに知ってほしい。
こんな牙城くんは、わたししか知らないって。
……いいや、でも。
わたしと牙城くんだけの秘密、というのも良いかもしれない。
「期待……、しても、いい、デス」
なんだか恥ずかしくなって小さな声で呟くも、しっかり牙城くんの耳には届いていたらしく。