離してよ、牙城くん。






「えー……、俺、サボる気満々だったんだけど」



はあ、とため息をついた牙城くんの目には、ぜんぜん速くない全力疾走をするわたしの姿。


これから先のことは、わたしは知らない。





「しょーがないか、」




口に含んでいた棒つきキャンディの棒を近くのゴミ箱に捨て、ふっと彼は笑った。





「百々ちゃんに言われたから、授業受けよー……」







そう呟きながら。





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