離してよ、牙城くん。
「また、4人で食事でもする?」
にこ、と微笑むお母さん。
まったく、何を考えているのかわからない。
「……わたしはいいよ」
「ええ、百々がいないと意味ないじゃない?」
「お母さんは休みの日はちゃんと休んで。……これ、約束したでしょ」
「百々はお母さんっ子ねえ。うふふ、いくつになってもかわいいわあ」
「んもう……、食器洗うよ」
「ありがとうねえ」
お母さんは、そう言いながらゆるっと微笑んだ。
何事にも楽観視するお母さん。
わたしと七々ちゃんの仲がわるくなっても、何も聞かないでくれた、そんな優しいお母さん。
「……七々ちゃんなんて……、ほんとに苦手だ」
はあーっと息を吐きながら、小さな声で呟いた。
窓の外から見える夜空は、わたしたちの仲を嘲笑うように曇天だった。