離してよ、牙城くん。
「えっと花葉……、いちおう確認だけど、椎名さんとは付き合ってないんだよね……?」
「うん! いまアタック中なんだあ……」
「このトーク、すごく恋人みたい……」
「ほんと?! 期待しちゃうよ……!」
花葉は恋する乙女らしく、頰を赤らめて照れている。
かわいいなあ……と思いながら、牙城くんのほうを見る。
「ねえ牙城くん……。椎名さんって……、チャラい?」
スマホをいじるのをやめ、拗ねたようにわたしの髪をくるくると指で巻いて遊んでいる牙城くんに問うた。
この様子だと、本当に椎名さんチャラ男説が浮上してしまうんだけど……。
おそるおそる聞くわたしに、牙城くんはなんでもなさそうに答えてくれる。
「まあまあ遊んでるけど。そもそも椎名、面倒ごと嫌いだから女と連絡先なんて交換しないよ」