離してよ、牙城くん。
「……うん」
七々ちゃんの、こういうところが苦手だ。
わたしと同じ日に生まれたはずなのに、わたしよりもずっと先を歩いている。
ううん、先というよりも、真反対を向いている。
金髪メッシュが入ったショートの黒髪。
カラコンの入ったブラウンの瞳。
いつの日からか、夜はまったく帰ってこなくなった。
お友だちが、ちがうくなった。
高校も、意図的に、わたしが被らないようにした。
小さい頃はこんなに不仲、じゃなかった。
──── 気づいたら、七々ちゃんは、不良だった。
顔はそっくりで、親戚でも見分けるのが困難なほどなのに、わたしたちはなにかがぜんぜん、似ていないのだ。