離してよ、牙城くん。
「お母さんに、冷蔵庫のプリン勝手に食べちゃったって言っといて。怒られちゃうかもしんないの」
「うん、わかった」
「ありがと、じゃあね」
ほんとに、いつからだろうか。
他人みたいにぎこちない会話をして、家にいっしょにいることがなくなって。
『な、七々ちゃん……っ、ぐずっ、』
『百々をいじめるやつはどこだ〜!!』
あんなふうには、もう、戻れないのかもしれない。
七々ちゃんが出て行ったあと、しばらくぼーっとしていたけれど、リビングへ行き冷蔵庫の扉を開けた。
「……七々ちゃんのことなんて、誰も怒らないよ」
だって、プリンは七々ちゃんの大好物だから。
お母さんが七々ちゃんが帰ってきた用に、必ず置いているんだもん。
いまだに、わからなかった。
一卵性の双子のはずなのに、七々ちゃんが、なんで夜の街に顔を出すようになったのかすらも。
知らないところへ行ってしまう、七々ちゃんが、
わたしは、……本当に苦手だ。