離してよ、牙城くん。
ねらわれる牙城くん
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「─── きみが、朝倉百々ちゃん?」
花葉がお母さんとお出かけをするということで、ひとりで帰路についていると。
そう声をかけてきたのは……、知らない男の人。
端正な顔立ちをしているな、というのは初めの印象。
背はとても高くて、華奢だ。
おそらくわたしよりも歳上で、人の目を引くようなオーラすらも感じられる。
にこっと微笑んでわたしを見つめている瞳は、赤色だ。
きっとカラコンだろうけれど、なんだか不気味な感じがして、少し怖かった。
……話したこと、ないよね?
どれだけ記憶を探っても、思い出せず、困ってしまう。
「えっと……、どちらさまでしょうか?」