離してよ、牙城くん。



「ああ、……そうだ。
きみは牙城クンの影響で知っているかもしれないが、【相楽】の仕業だ」



「さがら……」





あの、牙城くんにはじめて狂気を見せられた土曜日に、【狼龍】の女の人を狩っていた族の人たちのことだ。


【狼龍】の最大の敵で、いつ大きな抗争が起こっても不思議じゃない……。
そうささやかれている、危ない暴走族。



牙城くんの、敵。

必然的に、わたしのなかでは良いイメージはまったくない。



そんな人たちに、七々ちゃんがやられたの?

……大怪我って、大丈夫なの?




黙りこくったまま動かないわたしを見て、景野さんは真剣な表情で、聞きもしたくなかった事実を告げる。







「ナナさんは【狼龍】側の人間だから、人質にとられてやられたんだ」







……なんて言った?



七々ちゃんが、……【狼龍】だって?







……待って。


なんで、……なんで。






< 234 / 381 >

この作品をシェア

pagetop