離してよ、牙城くん。
「ナナさんは強い人だけれど、さすがに【相楽】相手にひとりは難しかったんだろうね。ケンカが終わってから、即、病院送り。いまは大きな怪我のせいで、まだ目を覚ましていない」
ぺらぺらと七々ちゃんの状況を喋り出す景野さんの話は、まったく耳に入ってこなかった。
七々ちゃんが、【狼龍】の人間で。
それなら、牙城くんがわたしと仲良くしている理由って……。
もしかして、ふたりのあいだに、……何かあった?
紫苑くんの言葉が、フラッシュバックする。
──── 『じゃあ……、あのことも知ってますよね?』
あのこと、って、もしかして……。