離してよ、牙城くん。
明るくて面白い花葉は、とっても人気者だ。
人脈も広いし、コミュ力も高いから、男子にも女子にもモテる。
「あ、そういえば」
花葉が、突然 立ち止まった。
「昨日、佐倉くんが百々を呼び出したあと、顔真っ青で教室に帰ってきたけどさ、なにかあったの?」
きょとん、と首をかしげる花葉に苦笑いする。
やっぱり……、佐倉くんに申し訳ないや。
「う、ん……、牙城くんに会ってね、ちょっと」
言葉を濁しながらそう言うと、花葉はにやーっと楽しそうな表情で「でた!牙城渚!」と叫んだ。