離してよ、牙城くん。



『ももー、あけるねー? 何が出るかなぁ〜』



わくわくとした表情で、七々ちゃんは、わたしがあげた箱をパカッと開いた。


おとうさんは、そんな様子を、ビデオで撮っている。



意気揚々と箱を見た七々ちゃんは、途端に声を沈ませて。





『……っええ、なんにもないよ? 百々』




いっきに顔を暗くした七々ちゃん。


そう、中身はからっぽ。

……に、見せかけただけなんだけどね。





気まずい空気が流れたおかげで、おとうさんも、心配そうにわたしたちを見ている。




……えへへ。

さくせんどおりだ……っ!





『七々ちゃんっ、ちゃあんと中見て……?』


『えー?』





どういうこと?と首を傾げながら、七々ちゃんは箱の中を覗きこむ。



すると、七々ちゃんったら、一瞬にしてぱあっと顔を輝かせた。








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