離してよ、牙城くん。




『もういっこ、箱があるよ……っ』


『えへへ、うん。そうやって何個もくりかえして、出してみて』




おかあさんに教えてもらった、まとりょーしか?というやつ。


箱の中に箱。

そのまた箱の中に箱。




それをいくらかくりかえしたら……。




せっせと箱を出し、また出し、それをくりかえしを何度かやっていた七々ちゃん。



自分たちの顔よりも大きかった箱から、手の大きさくらいまで小さくなった箱を開けると……。





『おてがみ……?』





文字をかくのはにがてだけど、七々ちゃんのためにがんばったの。


毎日、おかあさんにおしえてもらって、長い文章もひらがなばかりだけどかけるようになったの。




七々ちゃんはそれを知っているからか、なみだがすこしだけ、うかんでいる。







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