離してよ、牙城くん。




こ、こわいよ七々ちゃん……?


あはは……と苦笑いを浮かべるしかできないわたしと、元気な七々ちゃんの前に、おとうさんはしゃがみ込んだ。



わたしたちと目を合わせるように、ぽんっとふたりの肩を叩く。






『ふたりは、どれだけ大きなケンカをしても、ぜったい仲直りするんだよ』



目尻を下げたおとうさんは、優しい声で言う。


急にそんなことを真剣に伝えてくるものだから、目をぱちぱちと瞬かせる。





『おおきなけんかなんて、しないよ……?』


『うんうん、なかいいもん、わたしたち』




ねーっと顔を見合わせてにこっとするわたしたちを見て、おとうさんはわしゃわしゃと頭を撫でてくる。






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