離してよ、牙城くん。




『そうだな……。余計なお世話だなあ』



『よけーなおせわ……?』

『ななもわかんない……』




首をかしげるわたしたち。


髪の長さも、服装も、生まれたときからずっといっしょ。




行動すらほぼおなじだから、見分けるのは話し方だっておかあさんが、しんせきってひとたちに教えていたのをおぼえている。



ゆっくりでふわっとした喋り方が、わたし。

はきはきしてて、しっかりした口調が七々ちゃんなんだって。





おかあさんとおとうさんは、どれだけわたしたちふたりがお互いを紛らわそうとたくらんでも、いちども間違えたことはなかった。


ななとももはぜんぜんちがうよって当たり前のように言ってくれるふたりが、とってもとっても大好きだ。




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