離してよ、牙城くん。




『107を表す言葉は、──── “神と愛の導き”。
きみたちは、天から守られている存在であり、安心してその直感で進んでいくべきだ』




かみと、あいの、みちびき……?


まだ7歳になったばかりのわたしたちには、到底理解できない内容で。


ちんぷんかんぷんだと考えることを諦めるわたしとちがって、その横で、七々ちゃんは真剣におとうさんの言葉を聞いていた。




『ふたりは、お互いがいないと成り立たない。何があっても、どんなに辛くても、ふたりでその壁を越えていくべきだ』




『……わかったよ、おとうさん』






いま思えば、おとうさんと七々ちゃんは仲が良かった。


わたしは完全なお母さんっ子だったけれど、七々ちゃんは、よくおとうさんの難しいお話に耳を傾けていた。






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