離してよ、牙城くん。


「うへー、ケチな百々ちゃん」


「んなっ、ちがうもん!」



距離感おかしい牙城くんがわるいんだよ!


ふつう、こんな道端で付き合ってもないひとに抱きつきなんかしないからね?




ぷんすか怒って牙城くんの背中をばしばし叩いていると、「ちょっと待て牙城渚!」と興奮中の花葉が声を上げた。




口論をやめて、わたしと牙城くんは花葉のほうを向くけれど。





さきほどまでは嬉しそうに彼のことを話していたはずなのに……。


あれ、いま、花葉怒ってる?



唇を尖らせて牙城くんを指差す。




「あのね、わたしの百々に乱暴するなら近づくのやめてもらえる??」



「……ええと、花葉?」





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