離してよ、牙城くん。
現れた光の外に佇むのは、おそらく【狼龍】のメンバー。
全員で押したのか、壊れかけた扉が中途半端に開いていた。
怒りで逆立つシルバーの髪を見た瞬間、憎い相手なはずなのに、……なぜか安堵で力が入らなくなった。
騒ぎを感知し、慌てて奥の部屋からぞろぞろと【相楽】がやってくる。
【狼龍】のメンバーと、決定的に違うところ。
……それは、確信に満ちた勝利な笑みを浮かべているところだ。
「ハァイ、きみはこっちに来てネ」
突如現れた赤髪の男に、ずるずると引き摺られる。
砂利だらけの地面に肌が擦れて、痛みで「うっ……」と唸ると、光のほうから怒気を含んだ声が飛んでくる。
「──── おい、百々ちゃんに触るな」