離してよ、牙城くん。
確かに、牙城くんはわたし以外の女の子と話したがらない。
廊下などで、いつも可愛い女の子に話しかけられてるのに、フル無視。
もはや、わたしと話しているときと別人なのだ。
冷たい目で牙城くんを見る花葉は、小さい声で呟く。
「牙城渚って、付き合ったらめんどくさそう」
「はあ?急にディスんなよ」
「なんでもいいけどさあ、
百々を大切にしてくれるなら認めてあげてもいいのに」
「あんたに認めてもらえなくても、百々ちゃんという存在が俺のだから」
「え、怖い。
……百々、こやつ頭おかしいんじゃない?!」
「あはは……」
ぽんぽん言い合う花葉と牙城くん。
なんだかんだ、仲良く見えてきたな……。
「俺には百々ちゃんしかいないから、俺の。
これ、哲学なんだわ」
「ちゃんとした哲学 学んでこい」
「あんたは俺の哲学、学んでもらえねえかな」
「即却下!!」