離してよ、牙城くん。

過去といま






【七々side】




.





ナギとはじめて出会ったのは、2年前の冬だった。


たしか……中学を卒業する前くらいかな。




わたしは百々が寝てから外に出たから、きっと日付が変わる時間帯だったと思う。





夜の世界に足を踏み入れたのははじめてで、……少し冷えた暗闇のなかで不安を抱えたまま歩いていたの。



もちろん、お母さんには内緒。


言ったら、止められるのはわかっていたから。

でも、いままで普通だったわたしが、グレた娘となったせいで、お母さんから笑顔が少し減ったのは知ってる。



こっちの世界へ入った理由も、ずっと百々にも言わないつもりだった。






それでも、わたしはやらなければならないことがあったから、こうしてずっと、この世界に入り浸っているんだ。




< 294 / 381 >

この作品をシェア

pagetop