離してよ、牙城くん。
過去といま
【七々side】
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ナギとはじめて出会ったのは、2年前の冬だった。
たしか……中学を卒業する前くらいかな。
わたしは百々が寝てから外に出たから、きっと日付が変わる時間帯だったと思う。
夜の世界に足を踏み入れたのははじめてで、……少し冷えた暗闇のなかで不安を抱えたまま歩いていたの。
もちろん、お母さんには内緒。
言ったら、止められるのはわかっていたから。
でも、いままで普通だったわたしが、グレた娘となったせいで、お母さんから笑顔が少し減ったのは知ってる。
こっちの世界へ入った理由も、ずっと百々にも言わないつもりだった。
それでも、わたしはやらなければならないことがあったから、こうしてずっと、この世界に入り浸っているんだ。