離してよ、牙城くん。



去っていく男の人たちを呆気に取られて見つめる。


……ガジョウ?

がじょう……って、人の、名前かな?




相当、その人は強いのか、何人がかりでも見つからないらしい。

慣れない雄叫びも聞こえてきて、ぶるっと体を震わせた。



……わたしも、絡まれないようにしなきゃ。




なるべく早く目的の場所に足を運び、さっさと終わらせて家に帰ろう。



そう思ったそのときに、……夜の世界の危険さを目の当たりにしたんだ。





「牙城、いたぞっ!!!」




たまたまわたしの行く先に、男の人たちが群れていた。


その真ん中で、何やらスーツを着ている……銀髪の人の後ろ姿が目に入る。




……きれいな、髪色。

不可抗力で足を止め、思わず見入ってしまう。





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