離してよ、牙城くん。
激しい雨の中、ナギはわたしをじっと見つめていた。
「……なんで?」
感情が見えないナギを見て、わたしのせいで深く深く傷ついたことがわかった。
お互いを支え合って生きていたくせに、わたしが裏切ったから。
わたしがいなくなって、ナギがどうなるかなんてわからなかった。
いっそ、……わたしなんて忘れてほしいと思っていたの。
ナギが、嫌いになったんじゃない。
もう、こんな曖昧な気持ちでとなりにい続けることができなくなって。
一瞬でも祥華の方へ寄ってしまった自分が、どうしても許せなかった。
ナギと別れても、祥華と付き合うつもりはなかった。
祥華にも、失礼だから。
わたしは、だれにも頼らずに生きるべきなんだ。
大丈夫、わたしは強い女だから。