離してよ、牙城くん。
ナギに失礼だと思い、【狼龍】はやめることを決心する。
だけれど、たまにえみから連絡が来て、臨時で彼らと戦うことはあった。
ケンカは、いつになっても好きにはなれなかった。
ナギの、ナギが守る【狼龍】だからこそ、彼らと仲間だったから戦ったの。
ナギが、わたしと別れてから荒れたのは耳にしていた。
わたしがいるから、【狼龍】にも顔を出さないのも、みんなはわたしに遠慮して言わなかったけれど、わかっていた。
ナギに嫌われる。
ナギに、最低な女と思われる。
自分で彼を手放したくせに、キツかったんだ。
まったく会わない日々が続き、えみと話しながら、ナギの様子を聞いていた。
荒れて、……荒れて、ナギと信頼し合う椎名さんですらも手につけられない状態だった彼が、急に元気になったらしい。
そう、えみから伝えられたときは、驚いたものの、安心がすごく大きかった。