離してよ、牙城くん。
七々ちゃんは、いつだってひとりで戦っていた。
不良になったふりをして、影ではお母さんの負担を減らす努力をしていて。
わたしに避けられても、ずっと決心を揺らがずにいて。
わたしは、……なんて酷い言葉を七々ちゃんに言ってしまったんだろう。
七々ちゃんは、自分ひとりだけで家族を守ろうとしてくれていたのに。
「七々ちゃんの、ばかっ……」
やっぱり、七々ちゃんは、変わってなんかいなかった。
「……なんでっ、なんで言ってくれなかったの……!」
心が痛くて、痛くて、七々ちゃんに申し訳なくて。
知っていたら、わたしももっと何かできていたはずなのに。
ふたりなら、怖くなんかなかったのに。
「ごめんね、もも……、だって百々は優しいから、自分もするって言って聞かないでしょ……?」
「あたりまえじゃん……っ、七々ちゃんだけがすることじゃない」
「そう言うと思ったから……、夜の世界は危ないのに、百々がこっちに来たらダメだから……、どうしても言えなかったんだ」