離してよ、牙城くん。
わたしは強いからね、と控えめに笑う七々ちゃん。
確かに、わたしよりは合気道はじょうずだったし、人よりメンタルも丈夫かもしれない。
……だけど。
「七々ちゃんは、ほんとにほんとにほんとに……っ、ばかっ……!」
こんなことになるなら、ちゃんと七々ちゃんを真正面から向き合って受け止めるべきだった。
「……うん、ほんとに、ごめんね」
「ちがうよっ……! 謝ってほしいんじゃない。
わたしたち、なんのための双子なの? ふたりで支え合うために、ふたりで生まれてきたんだって、七々ちゃんはぜんぜんわかってないよ……っ」
「百々……」
「……っごめんね、ななちゃん……、いままでずっと傷つけてごめん……っ、ひとりで戦わせてごめんね……っ」
謝っても謝りきれない気持ちは、どうしても消化しきれなくて。
七々ちゃんの涙が伝うところを、見ることしかできなくて。
手足を縛られ、身動きのできないわたしに、七々ちゃんは駆け寄ってきて、……強く強く抱きしめた。