離してよ、牙城くん。
「……ねえ、百々、覚えてる?
お父さんが、……わたしたちの7歳の誕生日に言ったこと」
こんなに近くに七々ちゃんがいるのは、遠くの昔すぎて、懐かしくて、ぎゅっと強く抱きしめ返し……たかったけれど、不自由な腕のせいで、心の中だけに留めた。
「もちろん……、覚えてるよ。わたしたちの名前を合わせた……、107の数字の意味」
わたしがそう言うと、七々ちゃんは驚いた声で言葉を発する。
「……百々、あのときぜんぜん話聞いてなかったから、もう忘れちゃったと思った」
「あっ……七々ちゃん、わたしのことからかってるでしょ」
「……え、バレた?」
「もう……っ」
こうやって言い合うのも……、なん年ぶりなんだろう。
満たされて、幸せで。
七々ちゃんの存在がわたしのなかで、ほかにない大きなものだということを改めて認識した。