離してよ、牙城くん。
バキ、と、指を曲げて嫌な音を鳴らす牙城くん。
本気で怒っているのが伝わって、おろおろとするわたし。
……まさか、ここでケンカがはじまっちゃう?
いや、そもそもここにみんなが集まっているのはそれが理由なんだけど。
わたしたち姉妹の事情で、中断している状況なんだけど。
……さ、さすがに、もう、仲良くしませんか?
至近距離で見つめあう牙城くんと景野さん。
ふたりのあいだにバチバチと火が散っている……。
どうしたものかと頭を抱えるわたしの横で、七々ちゃんは面白そうにくすくすと笑っていた。
「へえ? じゃあ、いまから殴り合いのケンカでもしようか?
もちろん、族総出でも、僕たちのタイマンどちらでもいいけれど」
牙城くんに負けず、額に青筋を浮かべて言う景野さん。
いますぐにでも拳のぶつけ合いがはじまりそうで、ハラハラする。
ううっ、お願いだから……、平和に終わろうよ……。