離してよ、牙城くん。
わたしの願いは通じないし、総長ふたりの言い合いは終わることを知らず。
「遠慮しとこうかな。百々ちゃんの前で死人出したら、さすがに百々ちゃんに嫌われちゃうかもしれないし」
「……【相楽】が負けるとでも?」
「当たり前じゃん。【狼龍】ナメんな」
「口だけは達者な総長だな」
「どっちが」
お互いを睨み、ふたりとも、一歩も引かない。
口げんかをしているのはわかるんだけど……、どっちもすごく強いのはわかるんだけど……、なんだかすごく幼く見えるのはなんで?
一向に終わりを迎えない総長たちのバチバチに、音をあげたのは、【相楽】のメンバー。
「祥華さぁーん。俺、お腹空きました」
「オレもっす。そろそろ飯食いに行きません?」
「ちなみに、俺もです」
「すみません、ボクも」
口々に話し出すメンバーに、景野さんは「おいおいおい」と焦り出す。