離してよ、牙城くん。



「お前たち、【狼龍】を倒したくないのかい?
いまなら、血の気の多い獣を刺すチャンスなんだぞ」



「オイ、だれが血の気の多い獣だよ」





あ?と景野さんに噛みつく牙城くんを相手にせず、彼は【相楽】のメンバーの説得を試みる。




「いや、いまはケンカよりも飯っす」


「ほら、祥華さん。お腹が空いて力が出ないってやつです」


「それ、アンパ◯マンだよ」


「【狼龍】はまたの機会に潰しに行きましょ、ね? 祥華さん」




……すでに戦う気なし。


メンバーのあまりの戦意喪失に、呆然とした景野さん。

ぞろぞろと出口に向かう【相楽】の下っ端たちを見て、牙城くんはケラケラ笑う。





「やっべえ、おもろ。景野、おまえ飯行けよ」


「……牙城クン、次は覚えてろ。消してやる」



「おーおー待ってまーす」


「コロす」








< 335 / 381 >

この作品をシェア

pagetop