離してよ、牙城くん。
「お前たち、【狼龍】を倒したくないのかい?
いまなら、血の気の多い獣を刺すチャンスなんだぞ」
「オイ、だれが血の気の多い獣だよ」
あ?と景野さんに噛みつく牙城くんを相手にせず、彼は【相楽】のメンバーの説得を試みる。
「いや、いまはケンカよりも飯っす」
「ほら、祥華さん。お腹が空いて力が出ないってやつです」
「それ、アンパ◯マンだよ」
「【狼龍】はまたの機会に潰しに行きましょ、ね? 祥華さん」
……すでに戦う気なし。
メンバーのあまりの戦意喪失に、呆然とした景野さん。
ぞろぞろと出口に向かう【相楽】の下っ端たちを見て、牙城くんはケラケラ笑う。
「やっべえ、おもろ。景野、おまえ飯行けよ」
「……牙城クン、次は覚えてろ。消してやる」
「おーおー待ってまーす」
「コロす」