離してよ、牙城くん。
最後の最後まで仲の悪いふたりを見て、わたしと七々ちゃんは笑いをこらえきれなくて吹き出した。
……もちろん、牙城くんと景野さんにはじとっと睨まれたけどね?
七々ちゃんと手を取って立ちあがり、ひと段落ついたことに安堵する。
ここに来たときは、本当に絶望的な気分だったけれど。
こうやってまた、七々ちゃんと笑い合うことができて。
牙城くんの、ちょっぴり重い愛も健在で。
【相楽】の人たちとも良い関係を築けて。
こんなに事がうまく進むなんて信じられなくて……、でも、いまはそのおかげでとても幸せな気分だ。
「あっ、ナナさんも来ませんかー?」
「そうですよ、祥華さんの想い人なんでウェルカムです」
「ってゆーかぶっちゃけ、ナナさんタイプです。俺」
「ナナさん。牙城とか祥華さんやめて、ボクにしませんか?」